戦後の人々の心に潤いを与えるために、文化復興を目的とした「沖展」を皮切りに様々な文化事業を展開してきました。郷土の伝統文化の保護育成の目的で選考会や表彰事業なども広く実施しています。

沖展

第5回沖展。出品作品を説明する玉那覇正吉(左から2人目)と島田寛平(左)、大嶺政寛(左から3人目)、金城安太郎(同4人目)1953年3月、那覇高校
多くの家族連れや美術ファンが詰め掛けた第73回沖展=2022年4月2日、ANA ARENA浦添

 70年余続く沖縄タイムス主催の総合美術工芸展。県内最大規模で春を彩る美の祭典として、県民に親しまれています。絵画、版画、彫刻、グラフィックデザイン、書芸、写真、陶芸、漆芸、染色、織物、ガラス、木工芸の12部門に多種多様な作品が出品されます。審査で入選した作品と、過去に受賞を重ねて準会員、会員になった出品者の作品約700~800点を毎年、展示しています。

 1949年7月、沖縄タイムス創刊1周年を記念して「沖縄美術展覧会」(第4回から「沖展」と改称)を開催しました。第2次世界大戦で焦土と化した沖縄の再建に「文化振興が県民の支えになる」と考えられました。東京美術学校(現東京芸大)などで学び、ニシムイと呼ばれる首里の美術村を拠点に活動していた美術関係者の賛同を得て発足しました。

 沖縄が誇るやちむんで壺屋の金城次郎さん、織物芭蕉布の平良敏子さん、首里織の宮平初子さん、紅型の玉那覇有公さん、読谷山花織の與那嶺貞さんら5人の人間国宝を輩出しています。

沖展応募は16歳以上から可能で、個性にあふれた多彩な作品が出品されます。

  • グラフィックデザイン 大村郁乃 MONSTER
  • 絵画 平川宗信 黒い森
  • 書芸 比嘉邦子 近業二種
  • 漆芸 宇野里依子 深在
  • 版画 座喜味盛亮 LIFE-さあ始めようか-
  • 織物 久米島紬着尺
  • 写真 東邦定 南の島のナイトライフ

写真は準会員賞を重ねて、会員になったばかりの出品者の近年の作品

タイムス全沖縄少年少女
空手道大会

 タイムス全沖縄少年少女空手道大会は、沖縄タイムス社主催で1989年(平成元年)に第1回大会が那覇市民体育館で開催されました。沖縄が世界に誇る空手道の底辺拡大と、なお一層の普及発展、少年少女の健全な育成を目的に流派、会派を超えて多くの道場が一同に集まる県内最大の大会です。また、県内の多くの空手関係者が運営から審判まで協力して行う大会も魅力の一つとなっています。

 現在でも、会場を県立武道館アリーナ棟に移して、あらゆる流会派から垣根を越え、約100道場から約2,000人の少年少女(小学生から中学生)が参加しております。小学校低学年、同中学年、同高学年、中学校の部ごとに3人編成で、技と力や型の演技を競います。特に派遣などはかかっておらず、空手初心者や小さいお子様の参加も多く見受けられます。
 2022年は特に、前年に行われた東京オリンピックの男子空手形競技で県内選手が金メダルを獲得、さらに、県内で世界大会が開催されるなど、世界中の空手家が沖縄で一堂に会し、空手の本場沖縄の名が注目されています。今後も、同大会から世界大会やオリンピックで活躍する選手が出ることを願っています。

沖縄民踊フェスティバル

 沖縄民踊フェスティバルは、沖縄民踊の底辺拡大と普及発展を目的として、離島を含めて県内全域から民踊愛好者が一堂に集うイベントです。会場である沖縄市体育館いっぱいに踊りの輪を咲かせます。参加者は一人ひとりが主役となり、日頃の練習の成果を披露し、交流を深めます。

 民踊は多くの方々に愛される生涯スポーツ・レクリエーション活動です。「踊りの輪は人の和」をモットーに、みんなで沖縄民謡にあわせてのびのびと楽しく踊りの練習をする日々の活動は、生きがいづくり、健康づくり、地域づくりに貢献しています。

琉球古典芸能

 沖縄戦で壊滅的被害を受けた郷土の復興に向け、欠かせないものは何でしょうか?沖縄タイムスの創刊メンバーは「文化」こそが復興の礎になると信じ、1948年の創刊以来、美術・工芸や伝統芸能の復興に力を入れてきました。

 伝統芸能の分野では三線や琉球舞踊などの正しい継承と人材育成を目標に、1954年に「沖縄タイムス新人芸能祭」を開催しました。2021年に重要無形文化財「琉球舞踊立方」各個認定(人間国宝)を受けた宮城幸子さん(琉球舞踊真踊流)、志田房子さん(琉球舞踊重踊流)のお二人も1954年の新人芸能祭から輝かしい芸歴をスタートしています。新人芸能家の登竜門としての取り組みは沖縄タイムス芸術祭(1960年)、沖縄タイムス芸術選賞(1967年)と名称変更しつつ、選考を体系化し、現在の「沖縄タイムス伝統芸能選考会」に至っています。

 選考会では琉球古典舞踊、琉球古典音楽(三線、箏曲、太鼓、笛、胡弓)の6部門で審査しています。新人賞、優秀賞、最高賞、グランプリの各賞に、これまで延べ3万5千人超が挑戦、うち延べ1万5千人余りが入賞しています。中学2年生から受験が可能で、70歳、80歳代の受験者も珍しくありません。沖縄県内に限らず、県外・国外からの参加も多く、琉球古典芸能の魅力の素晴らしさを物語っています。

 もちろん、選考だけで実演家は育ちません。舞台を重ねることで切磋琢磨し、内心の成長を促すことができます。そのニーズから生まれたのが、選考会入賞者による「選抜芸能祭」です。実演家として研さんを積む第一歩と位置付け、毎年10月に5~6日間に渡って公演を行っています。また、選考会入賞者で組織する沖縄新進芸能家協会や男性舞踊家による飛輪の会、沖縄芸能協会は沖縄タイムス社内に事務局を置き、沖縄タイムス社と共催で定期公演を開催しています。

 沖縄の伝統芸能は今や隆盛を迎えた感があります。一過性のものとせず、将来へとつなぐことが肝心です。そして隆盛は実演家だけのものではなく、ファン(観客)あってこその隆盛です。舞台を見つめるファンの目は厳しく、その感想は実演家を育てます。次世代を担う実演家を育て、魅力ある舞台を作ること。ファンを増やし、実演家を育て、さらに魅力ある舞台を作ること。沖縄タイムス社は伝統芸能の益々の普及・発信に努めてまいります。

顕彰

沖縄タイムス賞

 「沖縄タイムス賞」は、沖縄の政治、産業、文化、体育、社会活動、自然保護、国際的活動など各分野で著しく貢献・尽力された方々に対して贈る賞で、沖縄タイムス社創立9年目の1957年7月に創設されました。
創刊記念日の7月1日に贈呈式が開催され、受賞者は、今回の第6回までに正賞257件、特別賞5件、感謝状34件、あわせて296件の個人や団体にのぼります。

沖縄タイムス芸術選賞

 「沖縄タイムス芸術選賞」は、本社の文化事業の両輪をなす沖展と伝統芸能選考会などを総合的に体系づけた表彰制度で、1966年に創設。沖縄の芸術文化の発展を図るため優れた芸術活動および芸術文化の向上に功績のあった個人や団体を表彰する制度で、これまでに延べ1500人以上を表彰しています。

全琉小中高校図画作文書道コンクール

 「全琉小中高校図画作文書道コンクール」は児童・生徒の情操教育の向上を目的として1953年から開催し2022年で第70回を迎えます。審査は図画・絵画、作文(韻文、散文、創作文)、書道の3部門で行います。